昔話

昔話は大体下のような内容が多くあります。

狸の話/妖怪の話/偉大な人/面白い人/変わった人/歴史的事件にまつわる話/

狸の名所というのがあり、どこそこに狸が住んでいるので、そこを通るといろんなことが起きるというもの。

馬目崎(笠屋)/猪谷(下中村)/お稲荷さん(中戸)/神越(樋端)/茶々藪(寺元)/城泉(ウバメガシ)/下橋/他には大きな木があるとか、うっそうと茂った森があるところ

代表的な狸にかかわる話(香川・徳島では狸話が主流で狐に化かされた話はない)

昭和の初めころのはなしであるが、ある時、寺元のAさんがが日暮れに茶々藪のそばを通りがかると、目の前に狸がおって、Aさんは「何をしょんかいな?」とみていると、今まさに人に化けるところだった。そして、すぐにすたこらと歩いていくので好奇心に駆られてついていったら、お茶屋(宴会場)さんに入り、やがて踊りを始めた。それが面白いので見入っていると、そこへ朝早く通りかかった人が「Aさん、なんしょんなー」と聞いたら、「ちょっと此処へ来て見てみまいだー。狸が人に化けておもっしょいことしょるでー」その人は藪をのぞき込んでいるAさんの姿を見て「それ、あんたがたぬきにばかされとんやでー」と言われ我に返ったと。似たような話として、最後は馬や牛の尻を眺めていたというのも多数ある。

次の話は、戦後すぐ(昭和20年前半)位の話である。中村のHさんが、仕事がはぜて(遅くなり)真っ暗の中を歩いて家に帰る途中、中戸のお稲荷さんまで来ると大井出の中からバシャバシャと大きな音がするので、「なんじゃろか?」と川まで下りていくと大きな鯉が何匹も泳いどった。こりゃ捕まえてうまいおかずをつくらニャーと追いかけ回した。明け方、そこを通りかかった人が「Hはん、この寒いのに井出に入って、なんしょんなー」と声をかけた。Hさんは朝まで幻の鯉を追いかけていたそーな。この話を知ってか知らずしてか、実際この場所で最近(平成)まで錦鯉を買っていた人がいた。

50年くらい前まで久詰池の北側に県下一で、天然記念物の「大ウバメガシ」があった。ここを夜通ると砂が降ってくるという話が昔からあり、これは狸の仕業だといわれていたが、ある時肝座った人がそこを通りかかると、お約束のように砂がパラパラと降ってきた。その人は木のそばに行き「なにしまるんなら、降りて来い!」とおらんだ(怒鳴った)。そうするとその勢いにのまれた、狸ならぬ若いしが降りてきた。当然ド叱られた。以降砂は降らなくなったが、木が道路に覆いかぶさっているので、その後も狸に化かされるといってだれもかれも相変わらずおそるおそる通ったとか。また、そばの久詰池には河童がいるのを見たという話もある。

ちょっと寄り道

狸に似たようなアライグマやハクビシンは害獣指定になっているが、狸は害獣の指定にはなっていない。なぜか?役所の人も狸に化かされると困るからかも!

★狸には面白い習性がある:「狸の溜糞」と言って、ほぼ毎日同じところにふんをする。野山に限らず民家の庭とかにもやってきて盛り上げる。これは縄張りを主張しているそうだ。

妖怪か狸かわからないような話

これは全国にあるようだが、「高坊主」「高壁」というもので、夜道を歩いていると月明かりがあっても急にあたりが真暗になり、見上げると大入道がいるというのが「高坊主」。前が見えなくなって、行くことも戻ることもできなくなるのが「高壁」である。成重の荒神原というとこで何度も体験した人がいるそうだ。(大正~昭和初期の話)

明治~大正にかけての話:中戸の田んぼの中でよく見られたそうだが、稲を脱穀した藁を田んぼの中で乾燥保管する「藁ぐろ」というものがあったが、昼間にこれが突然燃え出すというもので、これは一大事と火を消すために駆けつけると、火が突然消えてしまう。すると、次の瞬間50mほど離れたところの藁ぐろでまた火が燃え盛るというのを繰り返す。これを「野火たき」という。これは大勢の人が見ていても起きる現象だそうだ。似たような話として、日が暮れてひょっと高平山を見上げると、中腹で小規模だが火事が起っているいるのが見えたので慌てて、人を呼びに行って戻ると何事もなく「人騒がせな」と叱られたというもので、これは実際の体験談である。(昭和30年ころの話/視力は2.0)

シャンシャン馬:愛宕山の中腹に焼場(葬祭場)があったころ(明治の中頃~大正にかけて)の話であるが、墓地があり雨が降ると、時々火の玉が飛ぶような場所で、夜になると猪谷の池あたりから、シャンシャンと鈴の音が聞こえてきて、馬の首だけが麓の鍛冶屋(今はもうない)の裏から高堰(たかぜき)を経て湊川へ向かって走るという。 梅雨時から夏にかけてよく起きたそうな。

つづく

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